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部長(顧問)挨拶

鈴木敏彦
建築学部 建築学科 教授
鈴木敏彦
 みなさん、はじめまして。

山下司先生、谷口宗彦先生のあとを引き継ぎ、ヨット部部長になりました建築学部の鈴木敏彦と申します。

工学院大学の前身にあたる工手学校には造船学科がありました。その後、工学院大学専門学校に造船科は引き継がれ、そこからひとりの船の作家が生まれました。佐野末四郎さんです。佐野さんは、江戸時代から代々続く造船を家業とする家系の9代目です。卒業後にオランダの王立造船所で修行し、木造艇制作の第一人者なりました。ぼくの部長就任時の夢は、佐野さんに工学院大学ヨット部の木造艇の制作を依頼する事です。難題ですがこの夢を実現するべく努力したいと思います。

ところで、ぼくとヨットの関係は、30年以上前の工学院大学の卒業設計から始まりました。当時ぼくは小坪マリーナの一級船舶試験講習に通い、葉山マリーナと小坪漁港の接点となる施設を計画していました。船舶試験の勉強は設計の基礎知識として役立ったのみならず、この資格は就職の面接においても威力を発揮しました。黒川紀章建築都市設計事務所の当時の常務がヨットマンであったことが幸いしたのです。「一級船舶操縦士資格は、一級建築士よりも価値が高い」と言われました。当然、このボスの下でクルーとしても時おり活動しました。

建築家は、元来ヨットと結びつきが深い職能です。かつてフランスのエコール・デ・ボザールの建築術には、造船術が含まれていました。20世紀初頭、大型客船は海上の巨大建築として建築家がデザインしました。フランスのル・コルビュジエは、近代建築を巨大な客船に例えました。近年でも、イタリアのレンゾ・ピアノはヨットを自らデザインしています。

現在、ヨット部に建築学部の学生が多く在籍しているのは、理にかなっています。ヨットのキャビンは最小限居住環境です。そこで生活した経験は大いに設計に活かされることでしょう。ぼくの代表作のひとつである「建築家具」もヨットのキャビンでの経験を元に、空間のスケールや水のタンクの量を設計しました。

最後になりますが、ヨットは化石燃料を使わず、風という自然エネルギーを利用して海と一体になるスポーツです。自然を扱うために、時に大きな危険と向き合います。くれぐれも安全第一でヨットを楽しみましょう。

 

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